CPAP使用中のAHIが高いときに確認したいこと
CPAPを使っているのにAHIが高い・以前より上がっている、と気になっている方へ。考えられる原因と確認のポイントを解説します。
CPAPを使用しているのに、AHI(無呼吸低呼吸指数)が高い、以前より上がっている、と気になっている方へ。 考えられる原因と、確認したいポイントを解説します。
CPAP機器のアプリやディスプレイでAHIを確認できるようになると、 「数値が思ったより高い」「治療がうまくいっていないのではないか」と不安になることがあります。
AHIはCPAP治療の状態を確認するための指標のひとつですが、 1日だけの数値やAHIだけで治療の成否を判断することはできません。 まずは数日から数週間の傾向と、ほかの機器データや症状を合わせて確認することが大切です。
CPAP使用中のAHI(残存AHI)とは
CPAP機器が表示するAHIは、一般に「残存AHI」または「残余AHI」と呼ばれ、 CPAPの使用中に機器が検出した無呼吸・低呼吸の回数を示します。
ただし、睡眠検査で測定するAHIと、CPAP機器が表示するAHIは、算出方法が同じではありません。 睡眠検査では、実際に眠っていた時間や酸素飽和度、呼吸努力、脳波上の覚醒反応などを用いて判定します。 一方、CPAP機器は主としてマスクを通る空気の流れから呼吸イベントを推定しています。
そのため、治療前の検査AHIとCPAP機器のAHIを単純に比較することはできません。 また、イベントの検出方法やリークの計算方法は、機器のメーカーや機種によって異なります。
残存AHIが0でないこと自体は、必ずしも異常ではありません。 一般には5回/時未満がひとつの目安とされますが、 治療前の重症度、症状、イベントの種類、リークなどを含めて個別に判断します。
CPAP使用中のAHIが高い場合に考えられる原因
1.マスクや口からの空気漏れが多い
マスクのずれやサイズの不一致、口からの空気漏れなどによってリークが多くなると、 必要な圧が気道まで十分に届かないことがあります。
また、大きなリークが続くと、CPAP機器が呼吸イベントを正確に検出しにくくなることがあります。 AHIだけでなく、リーク量やマスクフィットの表示も確認してみましょう。 ただし、正常とされるリーク量は機種やマスクの種類によって異なるため、 数値の判断は担当医や機器管理会社に確認してください。
2.圧の設定が現在の状態に合っていない
固定圧CPAPの場合、設定圧が気道を開くのに十分でないと、 閉塞性の無呼吸や低呼吸が残ることがあります。
APAP(自動圧調整)の場合も、最低圧が低すぎる、最高圧が低すぎる、 必要な圧まで上がるのに時間がかかるなどの理由で、呼吸イベントが残ることがあります。
一方で、表示されているイベントの種類によっては、単純に圧を上げればよいとは限りません。 自己判断で設定を変更せず、担当医に相談してください。
3.体重・寝姿勢・飲酒・鼻づまりなどが変化した
体重が増えると気道が狭くなり、以前と同じ設定では無呼吸が残りやすくなる場合があります。 また、次のような条件でもAHIが一時的に変化することがあります。
- 仰向けで寝る時間が増えた
- 飲酒量が増えた
- 鼻炎や風邪で鼻が詰まっている
- 睡眠薬や鎮静作用のある薬を使用した
- 疲労や睡眠不足が続いている
- 季節の変化によって鼻の状態が悪化した
数日だけ高い場合には、その日の体調や生活状況も振り返ってみましょう。
4.CPAPをつけたまま起きている時間が長い
CPAP機器は、睡眠検査のように脳波を測定しているわけではありません。 そのため、入眠前や夜中に目が覚めているときの不規則な呼吸、ため息、一時的な息止めなどを、 呼吸イベントとして記録することがあります。
寝つきが悪かった日や、CPAPをつけたまま長時間起きていた日にだけAHIが高い場合は、 実際の睡眠中の無呼吸とは限りません。
5.使用時間が短く、一晩全体の状態を確認できていない
CPAP機器のAHIは、基本的にCPAPを使用していた時間内のデータです。 途中でマスクを外して眠った場合、その後に起きた無呼吸は機器のAHIには含まれません。 そのため、機器表示のAHIが低くても、一晩全体として十分に治療できているとは限りません。
また、使用時間が短い日のAHIは、短い時間のデータであるため変動が大きくなることがあります。 「4時間使えば十分」という意味ではなく、可能な限り、眠っている間を通して使用することが重要です。
6.中枢性の呼吸イベントが記録されている
CPAPによって気道の閉塞が改善した後に、中枢性の呼吸イベントがみられることがあります。 これは、呼吸を調節する仕組みが一時的に不安定になることなどによって起こります。 CPAP開始直後にみられる中枢性イベントは、治療を継続するうちに減少する場合もあります。
ただし、CPAP機器に「中枢性」と表示されただけで、中枢性睡眠時無呼吸と確定するわけではありません。 中枢性イベントが多い状態が続く場合や、息苦しさ、強い眠気などがある場合は、 担当医による詳しい確認が必要です。
1日だけのAHIではなく、数日間の傾向を確認しましょう
AHIは、寝姿勢、睡眠の深さ、REM睡眠の量、飲酒、鼻づまり、マスクの状態などによって日ごとに変動します。 1日だけ数値が高くても、すぐに治療がうまくいっていないとは限りません。 数日から数週間の平均や傾向を確認しましょう。
ただし、AHIの高い状態が続く場合、急に以前より上昇した場合、 強い眠気や熟睡感の低下がある場合には、早めに担当医へ相談してください。
AHIへの対応は担当医との相談が基本です
AHIが気になる場合は、自己判断でCPAPの圧設定を変更しないでください。 診察では、AHIだけでなく、次のような情報を総合して判断します。
- 閉塞性・中枢性などイベントの種類
- マスクや口からのリーク
- 使用時間と使用日数
- 圧の推移
- 体重や鼻症状の変化
- 日中の眠気や熟睡感
- 心臓病などの合併症
- 必要に応じて詳細な呼吸波形や睡眠検査
定期的なフォローアップでは、こうした機器データの確認が重要な役割を担っています。 数値について気になることがある場合は、遠慮なく担当医に伝えてください。
AHIデータをオンラインで医師と確認したい方へ
当院のCPAP継続フォロー外来では、機器データ(AHI・リーク量・使用時間・圧の推移)をもとに、 オンラインで定期フォローを行っています。初回のみ対面・2回目以降はオンラインで受診可能です。
CPAP継続フォロー外来の詳細を見る →